まめの創作活動

創作したいだけ

黒金の戦姉妹 おまけ2発目 お米屋さんの一目惚れ

 
どうも!



今回はおまけ第2発、題名で予想がつくかもしれませんが"彼女"の一目惚れです。

キャラ紹介の第一弾として取り上げました。

登場人物は

 第1部がクロ、パオラ、クラーラ、ガイア

 第2部がクロ、カナ、チュラ

 第3部がキンジ、チュラ、パオラ

になります。

クロとパオラが分かりにくいかもしれませんが、
ただのおまけなので、頭からっぽで楽しんじゃってください。



……最後の文章以外は。

では、始まります!




おまけ2発目 お米屋さんの一目惚れ

ダダダダダダダダダッ!

 

「?」

「何の音だ?」

「いつもせわしない」

 

 

ガラララララ―――!!

 

 

「"たのもーーーーー!!"」

 

 

「やっぱりクロさん」

「そんな慌ててどうしたんですか?」

「いつも騒々しいな」

 

「そ、そ、そ、そんな事より!パオラさん!」

 

「はへ?私ですか?」

 

「そうです!聞きたいことがあって…」

 

 

 

「パオラさんの家、お米屋さんなんですか!?」

 

 

 


 

 

 

「クロちゃん、どうしたの?チュラちゃんも一緒に、話ってなにかしら」

 

「聞いてください、姉さん。実は今、ある取引を行っているんです」

「いるんです」

 

「取引?いつだったかもそんな話してたわね」

「してたわね」

 

「そ、それとは別です!あれは過去の話です」

「恥ずかしいからやめてー」

 

グイッ、ムニィーーン

 

「いーたーいー」

「チュラさんは少しだまってましょうね?」

 

「こらこら、戦妹をいじめないの」

 

「この子は言っても聞かないんです。真似するだけで」

 

「うぅ……ひりひりふるひょ」

「おとなしく座っててください」

 

「……それで、今度はどんな取引なの?」

 

「ふふふ……姉さん、今日の朝ごはん何でしたっけ?」

 

「朝ごはん?カプチーノコルネットコルノ、あと目玉焼きとハムにミネストローネよ」

 

「え、あれ?あれれ?私と違いません?」

 

「学校に行ったら、後輩に誘われたの」

 

「私、コルネットクロワッサンだけで昼まで耐えてたのに!」

 

「朝食は外で済ませる子も多いそうよ」

 

「おいしそうです!ずーるーいーでーすー!」

「ずーるーいーでーすー」

 

「うふふ、2人もいるとすごい破壊力ね。ほら、一緒にあの裏通りのピザ屋さんピッツェリアに行きましょう?」

 

「えっ!ほんとですか!」

「ほんとー?」

 

「ええ、ホント。チュラちゃんの好きなブレザオラも置いてるわ」

 

「あそこなら気兼ねなく、はんぶ…3分の1で分け合いっこ出来ますね」

 

「ブレザオラたべたーい」

 

「姉さんはいつもカプリチョーザですよね」

 

「おすすめが一番おいしいモノよ」

 

「季節の握りって感じですもんね…そっちは食べたことないですけど」

 

戦姉おねえちゃん!チュラ、カルツォーネも食べたい」

 

「はいはい、一緒に食べましょうね」

 

Siiiiiii!やったぁ!

 

「ほら、2人とも。大衆的なお店だけど、最低限のドレスコードは整えるのよ?」

 

「チュラさん、急ぎましょう!もう窯の火もあったまってる頃ですよ!」

「あったまってる頃だー!」

 

「うふふ」

 

 

 


 

 

 

「どういうわけだ、これは……」

 

「すー、すー」

 

(なんで俺のベットの中に、女……子供が一緒に寝てんだよ)

 

「あっちの俺は、こっちの俺に恨みでもあんのか?」

 

(夢みたいに曖昧にしか思い出せないが、ピザ屋から帰って来てはしゃいでた……ような気がする)

 

「どうせ残すなら女の子じゃなくて、ピザの方残しとけよな……」

 

戦姉おねえちゃん……ピッツァ~」

 

もぞもぞ

 

(こ…こいつ!布団が少しめくれて分かったが…なんも……着てねぇ!!)

 

 

ガバッ!するる~

 

 

(よ、よし、この部屋が女臭いのはいつものことだ。外に出て気分転換にでも…)

 

ゴソゴソ ゴソソ……

 

(お……起きたか?)

 

「はむはむ……戦姉おねえちゃんこのピッツァおいし~」

 

(おまえは一生枕でも食ってろ!)

 

ギィィィ―――

 

(おっと、身だしなみはしっかりしとかないとな。カナに注意されて……)

 

「……鏡、見るんじゃなかったぜ」

 

 

 

 

 

 

「今日が祝日で助かった、女装して学校なんて勘弁だからな」

 

(あの派生ヒステリアモードは一度きれちまったら、1日はクロになれないしな。なりたくはねーけど)

 

 

ちゅんちゅん、ホロホロ

 

 

(部屋にいられないから外に出たが……することがない。でもなんか忘れてるよな、俺)

 

 

(なんだ……?ピザ……夕食……ご飯……ご飯…………っ!パオラ!)

 

 

「やべぇ……、これ、行かなきゃダメか?」

 

(夢で見ただけだが、枕食ってる不真面目な戦妹チュラと違って、パオラという女の子は真面目なやつだった。ほっといたら昼から夜まで待ってるような子だぞ…?)

 

 

「と、とりあえず、様子だけでも見に行くか」

 

 

 

 

 

 

(――いた、20分前には待ってるって……フィオナドイツ人かよ。日本では早すぎても失礼になるんだぞ、相手の家に訪問する場合だが)

 

「クロさん、遅いですね。いつもTAR第三装備科の開店30分前には手伝いに来てくれる人なのに」

 

(それはそれは、俺が失礼しましたよ!俺の方が時間前に訪問してるじゃねーか。あっちの俺は常識がねーのか!)

 

「でもでも、こんな私でも、クロさんの役に立ってるんです!……まさかお米屋さんとしてとは思いませんでしたが」

 

(……お前にはいっつも世話になってるよ。クロがな)

 

 

 

パオラ・ガッロ

 

 ローマ武偵中2年、専攻は装備科アムドでランクはC相当。同学年内ではSランク候補の奴を抜けばTOP3に入る。

 

 ウェーブ掛かった黒髪で、瞳も黒い、身長138cmの超小柄なミニマム少女だ。

 体型も無くはないが有るというにはおこがましい、まさに有無がいえない子供体型で、いつも黒い手袋と茶色のリュックを背負っている。

 

 改造の申請は通ったらしいが、表立って依頼を受けているのは見たことがない。これさえやってればNo.2のBランクにはなれそうなのにな。

 優秀な技術者というよりも小売業者のような体制を敷いていて、中学生にしては珍しく"独自の経路仕入れ先"を持つ。仕事が早くて丁寧で、値が安すぎないのも逆に安心感が持てる。俺(クロ)が贔屓にしている、真面目な生徒だ。

 ナイフのレンタルもここで行っているんだが、元々使っていた折り畳み式フォールディングナイフを修理に出して、形状が似てたから借りた。無償ではなかったが、心ばかりの値で貸し付けてくれたんだ、今度は壊さずに返せるように努めないとな。

 

 使用武装は……確かベレッタM92FScompactとマニアゴナイフ――俺がレンタルしているのと同じもの――だったか?

 戦闘はからっきしで、銃の整備は完璧に行うのに発砲までに時間がかかる、刀剣の鍛造も出来る(先輩と一緒にやってるらしい)のに構えがズブの素人、という点からも良く分かる。

 また、在庫品に紛れていたM18発煙弾スモグレを見て卒倒した。トラックが怖くて乗れない。などという話も夢(クロ目線)で聞いた…気がするが、なんで武偵学校ここにいるんだ?

 

 今の状況を見れば分かるが実家は米屋であり、今日は大事な取引があったはずだ。

 ……そうだ!日本米の輸入の話だ!

 

 

 

「まずは、俺のことをどう説明するかだよな」

 

(第一案として正体をばらす、まずこれはあり得ない。パオラは誰にも話さないだろうが、嘘を吐けそうな性格じゃない。学校で会う度に危険だ)

 

(第二案、今から女装して会う、ない)

 

(第三案、遠山クロの兄として振る舞う。悪くはない…が、学校に通ってないのはおかしいよな。別居で他の学校に通ってるならなんで今日来たって話だ)

 

(第四案、取引代理人として、姓を名乗らずにパッとやってパッと帰る。あいつなら強い口調でごり押せるだろ。よし、これで行くか)

 

 

 

「おい」

 

「わあぁ!」

 

「振り向くな、Dirò solo una volta一度しか言わないInoltre, Non consentire domande質問も許可しない

 

「は、はい…」

 

(小動物みたいに怯えてんな。ほんと、つくづく荒事の多い武偵に向いてない奴だよ)

 

「下は向くな、自然に振る舞え。俺は武偵だ、遠山クロ武偵の依頼を受けてここに来た」

 

「クロ……さんの?」

 

(質問っぽいが、独り言みたいだしいいか)

 

「日本米の輸入についての話だと聞いている。先方の契約書類なんかがあるならこちらに渡せ」

 

「は、はい」

 

ゴソゴソ…

 

(うえっ、こ、こいつ、夢の中なら気にしないが、リュックの中からすごいお日様を浴びたタオルホワイトコットンのいいにおいがする)

 

ピリピリピリ……

 

(なんだ、この感覚。頭の奥がむず痒いような…変な感じがするぞ?)

 

「こ、これです」

 

「ん?あ、ああ」

 

(……うん、書類に不備はない、取引開始は2週間後で輸送と日本円支払いの仲介はパオラが行う、で俺は彼女の店に買いに行くだけか)

 

「俺はサインの代筆許可も貰っている。この契約に異存はないが、サインするぞ?」

 

「"肩に泥がついていますよ"」

 

「"おい、こっちを見るなと……"」

 

(やっべぇ、つい反応しちまった)

 

「"やはりあなたは日本人でしたね"」

 

(こっちは向いてない。ブラフだったのか。ビビってるだけかと思ったが、資料をすんなり渡したのも、俺の視線をそっちに向けるためかよ!)

 

「"どういう意味だ?"」

 

Dirò solo una volta一度しか言いませんInoltre, Non consentire domandeまた質問も許可しません

 

「っ!」

 

(言葉を……返されたぞ!)

 

「"まず一つ、日本人であることは第一声で分かりました。訛りが残っています。まだイタリアに来て日が浅いのでしょう"」

 

(確かに…そこはそうだな、バレて当然か。しかし、日本語うまいな)

 

「"次に、武偵というのは本当のようですね。それも長期の潜入スリップを専門としている。火薬のにおいと硝煙の匂いがしますし、変声…特に高い声を出すことに慣れていますね。タバコやお酒を普段から摂取しているような喉の焼け方はしていませんが、私の統計だと20歳未満の日本人の取引記録データが少ないので特定はできません"」

 

(探偵科だったら初歩で学びそうな内容だ、こんなのでも武偵ってことか。個人の統計ってのが気になるが)

 

「"それと、斜め後方を向いて話すのは良いのですが、その位置で立ったまま会話すると、意外と林の向こうからあなたの顔が見えます。私がここを契約場所によく使うのは、だからです"」

 

「"……なぜ立っていると思った?"」

 

「"後ろを向いていても意外と距離は分かるものです。あなたはここに来てから匂いを2度嗅ぎました。かなり匂いへのフェティシズムが強い匂いフェチの方か潔癖症の気がありますね"」

 

(無意識だったな。確かにこの木の実銀杏の匂い…どっかで誰かが踏んだな)

 

「"なので、敢えてリュックの口を大きく開きました。リュックの内部の温度は私の体温で温められ、空気温度より少し高いので匂いが少しづつ上に……"」

 

「"分かった分かった!少しお前を甘く見てた。実力は認める、悪かった"」

 

「"ありがとうございます。商売は互いに鏡を携えて同じ卓の水を飲むもの。私は契約とは互いのことを尊重し合って成り立つものだと思っていますから、少しだけ…怒ってるんですよ?"」

 

「"すまん。そんなつもりじゃなかったんだが、あまり俺のことを知られたくなかったんだ"」

 

「"契約相手の要望であれば、考慮致します。……そちらを向いてもよろしいですか?"」

 

「"いや、いい。俺がそっちに行くよ。顔だけじゃ足りないだろ?誠意もみせないとな"」

 

「"良かった、ホントに怖い人だったらどうしようかと……"」

 

(そこは神頼みなのかよ!)

 

「っ!」

 

「"ほら、これでいいだろ?で、サインの話なんだが……おい、聞いてるか?"」

 

「"!……っ!っ!あっ、うぅあぅっ!"」

 

「"なんだその中途半端な犬の鳴きまねみたいなのは"」

 

「"しょ、しょれ!それで構いにゃせん!"」

 

(にゃせんって、今度は猫か?)

 

「"ほらよ、サインだ、こっちに代筆許可の紙もある。……ほんとは言っちゃ不味いんだが、礼を描いたのは俺の方だし、理由もなしってのはあれだから言っとく"」

 

「"う、うぁい!"」

 

「"下を向くなって、怪しまれるだろ。こっちを見ろ"」

 

(なんでそんなに目を逸らすんだ、怪しまれたら話しづらいだろ)

 

「"ったく、いいか、俺はとある特務任務シールドここローマに来てる。お前が言った通り潜入だ。だから素性は明かせない"」

 

「"と、とくむっ!それで!"」

 

「"しばらくはここにいる、街で俺を見かけても意識するな"」

 

「"は、はい!意識…しま、せん"」

 

「"よし、それでいい。心配しなくてもお前に危害は及ぼさない。今日の不始末もあるしな、何かあったら手助けしてやるよ"」

 

もう一人の俺クロが、な)

 

「"――っ!た、たいへん嬉しそうです、ありがごます"」

 

(たいへん嬉しいです、ありがとうございますって言いたいのか?なんでそんな、しどろもどろなんだよ。さっき普通に話してただろ)

 

「"じゃあ、もう行くぞ?俺は今日の代理を伝手で頼まれただけだ。暇じゃないんでな"」

 

「"その、なまえ……名前だけでも、教えていただけませんか?偽名でも構いません"」

 

(名前か、まあもう会う事もないだろうしな)

 

「"キンジだ。漢字だと 黄金の金 に、 次第の次 。これは本名だ、だからこれだけは誰にも言うなよ?"」

 

「"金次さん…ですね。はい、誰にも言いません。契約も成立しました"」

 

va beneああDevo scappareじゃあな

 

Buona fortunaご武運を……」

 

 

 

 

 

 

「女と2人きりで話すなんて考えられなかったが、意外と大丈夫だったな」

 

(ま、契約の話だし、日本語だったからかもしれんが、友達と話すような気楽さを感じたのは、クロの影響もあるんだろうな)

 

「カナの作戦も、一応の成果が出てきてるってことか。まだちょっと怖いけど」

 

(ってか、夢の中が地獄絵図女だらけだから耐性もつくよな、そりゃあ)

 

 

 

ヒステリアモードでヒステリアモードを制する。

 

カナは俺のヒステリアモードをフェロモーネって名付けてたな。

 

 

ヒステリア・フェロモーネ。のヒステリアモード。

 

 

。俺は二つの条件を満たしたが、カナはまだ先があると言っていた。あと何させるつもりなんだよ。

 

偶然生まれた能力だが、あと足りないものってなんだ?

 

 

これ以上カナのおもちゃにされる前に教えてくれよ、ヒステリアモードさんよ…

 

 

 


 
 
 
おまけ二発目、読んでいただきありがとうございました!

今回も過去の話になっていますが、パオラの一目惚れ相手は、キンジでした。
オゥ、ジャパニーズマンガ。

チュラは名前しか出て来てませんが、こんな感じで家に馴染んでいます。もう少しで本編にも登場予定ですので、名前だけでも覚えていていただければ。


あとは、クロ。その能力はまだ発展途上。第二段階なんです。

匂いと女装

彼女(彼)に足りないものとは一体何なのか?

本編でも2回片鱗は見せてるんですけどね。