まめの創作活動

創作したいだけ

黒金の戦姉妹おまけ3発目 スイ&スポ女子の危険性

どうも!


今回はおまけ3発目。本編の続きが気になる人も、頭からっぽにして読んでって下さい!


キャラ紹介第2弾は、彼女です。
題名から分かるとは思いますが、彼女です。


どうせおまけですので、前置きはこの辺で、


では、始まります!





おまけ3発目 スイ&スポ女子の危険性

 

ガイア・ベニーニは危険人物である。

 

 

活発で運動神経が良く、義理堅くて誰にでも優しい。

 

半面、血気盛んで喧嘩っ早く、負けず嫌いで誰にでも厳しい。

 

 

 

これらは、いい。

 

だが、親しくなった人間には、少し態度が変わる。

 

 

 

おしゃべり好きでサプライズ志向、そして世話焼き。

 

半面、意外と寂しがり屋で、独占欲が強く、甘やかし過ぎる。 

 

 

 

これも…まあ、いいだろう。人をダメにするタイプだが。

 

問題はここからだ。

 

 

 

お菓子作りが好きで、よくお菓子をくれる。

 

バイク好きで、街で会うと乗せてくれる。

 

イケメン女子で、汗が輝いているタイプ。

 

 

 

これでは、いけませんね?

 

ガイアによる危険から身を守る為、危険察知運動を行いましょう。

 

 

ひとつ、ガイアから貰ったお菓子は、半分食べて半分はねえさ―――

 

 

 

――パタン

 

 

 

何だこれ。

 

机の上に置いてあったから気になったんだが、内容が良く分からない。

 

 

 

ガイア・ベニーニ

 

 ローマ武偵中2年、専攻は装備科で特別運転許可持ちの、通称兵站学部車輛科ロジロジ。Cランク相当だが、この学科に入れた時点でエリートだ。

 

 背の高い褐色肌で、セピア・ロマーノの髪、俺と同じ黒い瞳を持つ。

 引き締まった体型で、いわゆる女子にモテる女子。姉御肌系のイケメン女子だ。

 

 二輪車からトラックまで、一応バスや電車等の公共交通網も動かせ、陸の乗り物であれば何とか最低限の走行は出来る知識を持っているらしい。

 特に好んで乗るバイクと、任務で良く使用するらしい大型のバン系の運転はかなりの高評価を得ている。

 

 俺(クロ)も何度か現場まで運んでもらったが、イタリアの車道は大変だな。狭いし、路駐だらけだし、一通も多いし。

 

 使用武装は……銃は見たことがないな。持ってないってことは無いんだろうが、そもそも生身で前線に出る学科でもない。

 近接武器として、収納可能な警棒型のスタンガンを持っている。持ち手側の末端にはワイヤー付きの手錠が付いており、バイクや大型車に棒ごと接続することによって、市中引き摺り回しや、車輛の牽引が出来る。

 ワイヤーにもスタンガンの電気を通すことは出来るらしいが、出力と消費エネルギー量の課題が残っており、実用性は今のところない。

 ところで、車輛に取り付けて、同期をとってしまえば、その問題は解決されるんだが、それって拷も……一体何に使うつもりなんだろうな。

 

 またバイクは高機動兵器に改造済みで、ニトロスタート、収納型の2丁PP-19 BISONビゾン遠隔操作リモコンと、まだまだ隠している様子。

 改造は装備科でも許可証が必要なはずだ。ガイアは持っていないし、緊急用とはいえ、誰がこんな無茶苦茶な改造をしてるんだか。

 

 お菓子と運動が好きな、スイ&スポ女子で、俺も街中で何度か会ったことがある。週末しか外出しない俺の活動日数からすると、すごい確率だと思うぞ?

 

 パオラの幼馴染らしく、初めて会った時はやたらと質問をしてきたな。好きな食べ物とか、好きな髪形とか。特にないって答えたが。メモ帳まで持ってご苦労なこった。

 

 女の子っぽい仕草がないし、爽やかなシチリアレモンのような匂いは甘ったるくないし、ノリもいいので、悪友のような安全な部類の女子だ。

 

 

 

俺はそんな危険人物だとは思わないんだが―――

 

 

 


 

 

 

今日はっ!ドラーイーブー、いーいっ!てんーきーさー。

 

 

と、いうわけで、来た来た来ました!来ましたよ!

 

ここはシチリア島です!

 

地図で見ると、ブーツが波動拳はどーけん!みたいなのを出してる、その波動拳の部分。

 

 

ワインは飲めないけど、おいしい物がいっぱい!

 

新鮮とれたてなウニとか!朝摘みレモンをかけた濃厚なカジキ!本場のカンノールも頂くのだ!

 

……でも、折角ガイアが所属するロジロジの合宿に(勝手に)お邪魔したんだから、ちょっとくらい、風を感じたいよね!

 

 

「おーい、クロー!頼むから後ろで跳ねないでくれよ?バイクの重心がブレてんだ」

 

「ガイアさんなら大丈夫!なんなら立って見せましょうか?」

 

「立つならあと10秒後だ。丁度いい位置に標識が来る」

 

「うふふ、さすがガイアん!ホントに立ったら助けてくれるんでしょ?このツンデレさんめー」

 

 

ヴヴォオオンン!!

 

 

「あっあっあっ。ごめんなさいごめんなさい。加速しないで!ウィリーしないで!地面が!2ケツでウィリーは地面が!」

 

「ったく、危ないから素人が下手なことすんなよ?そのまま、しっかり抱き着いてろ」

 

「こ、こワかったデす~。いやー、ガイアんのお茶目さんっ!」

 

 

ヴォヴォ…

 

 

「うそうそ!嘘です!ガイアんはイケメンです、惚れちゃいますー!」

 

「まず、その一菜の真似をやめろ。クロが言うと馬鹿にされてる気がする」

 

「はいはい、ガイア様の仰せの通りに」

 

「それでいい。バイクに乗ってる間は、全部あたしに委ねとけ」

 

「おぅ!それは口説き文句かい?」

 

「だったとしたら、何点くれるんだ?」

 

「うーん。ムードが足りないですねー。やっぱり時間帯は大事ですよ」

 

「なるほどなー。お前が言うと説得力がなくていいな」

 

「な、なんだとー!私はロマンチストですよ!」

 

「代わりに一言。言ってみろよ、お前が一番いいと思うやつ」

 

「そうですねー……あっ!『このまま、夜空の星まで連れてってやろうか……?』とか」

 

「朝でも空には星がいる。送ってやろうか?丁度ウィリーサークルの練習してるんだ」

 

「2ケツでサークルはマズい!それ後ろの人踏み台になってますよね!?」

 

「冗談だ、参考にさせて貰うよ」

 

「もうすぐで一周ですね」

 

「お?良く分かったな。何か目印でも目星付けてたのか?」

 

「事前に距離を聞いていたので、頭の中で2窓を、計算に使っていました」

 

「?良く分かんねーな、そのギャグ」

 

 

 

 


 

 

 

お昼頃。

 

ドライブを楽しんだ私とガイアは、一菜、パオラ、クラーラと合流していた。

 

一菜は疫病の矢フラヴィアが通っていた、パレルモ武偵学校に興味があったようで、見学に行ったそうだが、かなりヤバい雰囲気の学校らしい。

絶対取り締まられる側の人間が通ってるよね、それ。日本でもヤーさんのお子さんが通っているし、別に珍しい事でもないけど。

 

でもフラヴィアは余り目立つ方ではなかったらしく、部活中の生徒に聞いても、大して面白い話は無かったとか。

それ以前に転校してきたばっかりだったっぽい。

 

 

「クロちゃん、見てよコレ!武偵高の方にお邪魔したら、こんなの貰っちゃったー」

「一菜さんは怖いもの知らずですね。何をもらったんです?」

「じゃじゃーん!」

「…なんですか、それ?」

「知らなーい」

「……」

 

 

 

……なんて不毛な会話なんだ。

 

 

 

「クロさん、予定しているお店はこっちですよ」

「ガイアと一菜さんも、行きましょう」

 

 

 

パオラとクラーラは、観光のついでにお店の選別をしていた、大衆向けのピッツェリア・バーへと案内してくれる。

 

外にテラス席が用意されているのに、それでも席がほとんど埋まるほど、人がいっぱいでにぎやかな人気店だった。

日本人は見当たらないな、地元民が多いみたい。旅行者にとっては穴場なのか?

 

 

メニューにはピザもあるし、パスタもあるし、魚料理もある。

でも、スイーツを置いている店ではないっぽいね。

 

ここで「もう一軒まわれる!」と考えるのが幸せの秘訣ですよ?

旅行…じゃない、合宿先のお店なんて、そうそう来られないんですから。

 

 

ざ、ザル?ザルデーナ料理なるものがあったが、注文するにはなかなか勇気が要りそうだ。

 

「すげー!豚の丸焼きだー!」

 

ほら、勇気のある人はすぐに飛びつく。頼みたそうだ。

 

リアルうなぎパイは回避したけど、食べきれんのか?この料理。

 

「一菜さん!こっちのアクアパッツァもおいしそうですよ」

「えー、そんなのローマうちでも食べられるじゃーん!」

「確かに、郷土料理を楽しむのも、いい」

「あたしも、ちょっと見てみたいな、丸焼き」

「みんなで食べれば、食べきれますよ」

 

あー、皆ノリノリだよ。ここはシチリア島だから郷土じゃないって。

 

でも、いざ頼むとなれば、ワクワクする。

 

みんなと一緒ってすごい言葉だ。何でも楽しめそうな気がするよね。

 

 

「よっしゃー、決まり!じゃあこっちの豚の脳みそも一緒に頼んでみない?」

「ない」

「ないわー」

「ないですね」

「それは、ない」

「ないわー」

「あれれー!?てか、クロちゃん紛れて2回言っただろ!ひどいよ!!」

 

 

前言撤回。

 

みんな一緒でも、踏み越えられない一線はある。

 

その場のノリで失敗するのは、集団行動における弊害だよね。

 

 

 


 

 

 

夕暮れ時、ホテルへのチェックインを済ませた私たちは、夜ご飯の時間までは各々自室で休むことにした。

 

一応、ツーマンセル以上の行動をとるために、くじ引きをした結果、私は見事に2人部屋を勝ち取った。

 

3人組の方はベットが3つ置いてあるらしいから、視覚的に狭いんじゃないかな?

 

私とガイア、一菜とパオラとクラーラだ。

 

 

今、私とガイアは自室で今日のドライブの時に見えた、海と山の景色の話で盛り上がっていた。

 

ガイアは2回目だろうに、合わせてくれるところがニクいね。

 

 

ガイアと2人きりってシチュエーションは、あんまり記憶にないな。

街であった時にモペッド2ケツってのはあるけど、ゆっくり話なんてしたことがなかったかもしれない。

モペッドは、重量過多でゆっくりだったけど。

 

 

思いのほか弾む話に、今朝見た景色を思い出す。

 

高い山に囲まれて、街中をずーっと走っていく。たまに石橋を渡ったり、車じゃ通れなくなった場所を突き進んでみたり。

そんな景色の中に現れた海は、広くて、遠くを見渡せて、清々しい気分になった。

 

そんな私たちを撮影する観光客もいた。ここは歴史的なサーキット。

たまーに脇道にそれるけど、過去には多くの夢と希望と伝説を生み出した、ロマンチックな場所なのだ。

 

 

「明日、帰る前にガイアさんともう1回走りたいですね!」

「何なら夕食前に、もう1回行くか?今から」

「えっ、良いんですか?疲れてません?」

「クロが大人しくしててくれるなら、いくらでも走れるぞ」

 

 

良きかな 良きかな

 

では、さっそく参ろうじゃないですか!

 

 

 

 

 

 

 

ヴォヴォーン!

 

 

バイクがエンジンを吹かし、ガイアと私の2人を乗せて、夕日がだいぶ傾いたサーキットを走る。

 

この辺は夜になったら、ローマの裏道よりもよっぽど暗くなるのかな。

 

 

街を抜け、石塀と自然に囲まれた道を進む。もうすぐ海が見えるはず、夜になれば、朝ほどもいい景色ではないだろうけど、それでも吹き抜ける風はさぞ、爽快だろう。

 

 

「クロ、ちょっと飛ばすぞ?」

「え、どうしたんですか?突然」

「クロが大人しく、あたしに身を委ねてくれたからな。思ったより順調だ」

「それなら尚更、急がなくても夕食には間に合いますよ?」

「いい子には、ちょっとしたご褒美をあげないとな」

「お?お?何です?何奢ってくるんです?」

「はっ!とにかく良いもんだ、しっかりくっついとけよ?」

 

 

 

ヴヴヴォオン!ヴォンヴォンヴォン!ヴヴヴォオヴォオオオオーーーン!!

 

 

 

すっごい速度だ、カッ飛ばしてんな。

今はレースじゃないんだし、何を急いでいるんだろう。

 

 

「いくぞ?もっとくっつけ、舌噛むなよ」

「な、何を…?」

「近道だ」

「ちか…」

 

 

 

キュイィィィイイイイ!

 

 

 

は、何!何が起きてるの!?

 

あ、なんだカーブかビックリしたー。ブレーキ掛けただけなのね。

 

急激に速度を落とし………あれ?

 

 

 

―――ハンドル……切ってなくない?

 

 

 

……違う!この人、何かやる気だ!確実に!嫌な予感が止まらない!

 

 

「本当に本気で挑戦しているときに危険は存在しない」

 

 

なに、なんの呪文?

 

 

「なぜなら、すべては自分のコントロール下にある!」

 

 

 

 

 

――――刹那の瞬間、悟った。

 

 

さっきのブレーキはきっと。

 

 

 

ヤバい方の燃料ニトロに切り替えたんだ、って。

 

 

 

ドゥギュゥウウゥォオオオオオオオーーーーーン!!

 

 

 

 

と、飛んだ―――!

 

 

直前にガイアは寝そべるような姿勢になっており、私はそれに覆いかぶさるような体勢だった。

そこから彼女はステップを思いっきり

 

 

それが、今――蹴った反動で、ガイアの掴むハンドルを軸に2人共。私が下側に来たあたりで、ガイアが…ガイアが…

 

 

 

「ガ、ガイアさん……その手……」

「こうしないと、掴めないだろ?」

 

 

ガイアが……手を…手を………ハンドルから手を……

 

 

 

 

―――離しやがった……っ!

 

 

 

 

空中に投げ出された。2人して。頭が混乱して思考が定まらない。出来ることはただ1つ。

 

ガイアに必死でしがみつく事だけだ!

 

 

 

「うわーーー!死んじゃうーーーー!」

 

 

 

思いっきり、思いっきりガイアに抱き着く。

死にたくない、その一心で。

 

血は逆流を終え、すでに流れは止まってるんじゃないかと思うほど。

心臓が張り裂けんばかりにドックンドックン!鳴っている。心臓が空回りしてるのか!?

 

 

もう綺麗な景色とか、言ってらんないよ!

下手したらこれからずっと、見下ろせる場所に行ってしまうかもしれない!

 

 

 

パシュッ!――――

 

 

 

何かが射出される音、その音が聞こえた時、気が引き締まり、思考が定まる。

 

武偵流の気付け薬だな、射出音。

 

 

 

飛んできたのは……手錠?

 

それを左手に引き寄せたガイアは、今落ち着いたから気付いたけど…

 

 

右腕に私を抱き留めていた。

 

 

何も言わず、ウインク1つしたガイアは、手錠が繋がるバイクへと、ウィンチで引き寄せられていく。

 

 

そして抱いた私ごと、後ろ向きのままバイクに飛び乗り、

 

 

 

 

キュイイイィィィィイイイイ―――

 

 

 

 

今度のブレーキは本当に止まった。

 

 

 

 

生き……てる。

死んでしまうかと思った。念仏を唱えようにも一文目以降が続かなかったけどね。

落下の衝撃を感じても心ここにあらず。未だに怒る気力すら湧いてこないのだから、空中に投げ出された時のショックはよっぽどだったんだろうな。

 

そんな私の頭をなでて宥めるガイアの肝の据わり方は尊敬できちゃうよ。

アドレナリンの大量分泌で高揚してはいるが、脚の震えもなく普段通りに立ち上がると、放心する私の手を取って、柵の無い崖際に引っ張っていく。

 

最早、ふらふらの私はされるがままに彼女の後を牽引されていくのみ。

むしろ手を離されたらその場でうずくまってしまいそうだった。

 

 

「着いたぞ、クロ。ここがあたしのおすすめの夕日スポットだ」

 

 

そういって指さす海は、水平線にギリギリ夕日が見える、とても美しい景色だった。

薄霧が掛かる今朝の景色とは違って、その輪郭がはっきりと空と海を分け隔てる。黄色い太陽は、日本で拝んだ赤い夕焼けの色とは違って、輝かしく神聖なものに思われた。

 

 

「間に合って良かった。結構ギリギリだったな」

「キレイです…とても」

 

 

岸壁の向こう側、広い広い海の中に、今、夕日が完全に沈んでいった――

 

 

 

「……帰りましょうか、ガイアさん」

「クロ」

「はい?」

 

 

振り返ると、頬に手を当てられた。

 

少し高い段差に立っていたガイアは、屈むようにして、私を真っすぐに見つめている。

 

丁度、フィオナをカフェに誘った時のような構図になった。立場は逆だけど。

 

 

「クロ」

「な、なんですか……?」

 

 

夕日が沈んだ空には、その代理だと言わんばかりに星々が、いつの間にか顔を出し始めていた。世界は光にあふれている。私の目にはその全てが映り込んで来て……

 

 

「『このまま、夜空の星まで連れてってやろうか……?』」

「っ!」

 

 

あの時はふざけて言ったのに。

 

 

ガイアと星々しか見えない、このロマンチックなサーキット世界では、

 

 

"あれ?私、センスあるじゃん"なんて、

 

 

 

思っちゃったりするんだな。

 

 

 

 

 

 

ドクンッ――!

 

 

 

いつもと違う。

 

 

 

ドクンドクン――!

 

 

 

さっきとも違う。

 

 

 

心の波が乱されるのとは違って、血流が。

 

 

体の芯が、とろけていくように。

 

 

なんだろう、今の自分は。

 

 

他の誰よりも気がした。

 

 

 

 

守られなければいけない…!

 

今襲われれば、私は。小鳥にすら負けるかもしれない。

 

誰かに、誰か―――

 

 

 

 

―――目の前にガイアがいる。

 

ああ、彼女なら。優しくて、私より強い彼女なら、きっと私を守ってくれる。

 

手に入れなければ、私の大切な騎士様を。

 

私を守ってもらわなければ……。

 

 

 

「ガイア……さん」

「どうだ?自分で考えたセリフは。今なら何点くれるんだ?」

 

 

彼女は無邪気な笑顔を向ける。からかうようなその仕草も。

今は、どうしようもなく愛おしいの。

 

 

「お答え……します」

「どうした?ちょっと飛ばし過ぎたか?」

 

 

彼女は無防備に私に近づく。気遣うようなその仕草は。

今の私には、いつも以上に心を乱されるの。

 

 

「おーい……」

 

 

 

サッ

 

 

 

抱き着く、その力も弱々しくて。

だから、彼女が離れて行かないように。

 

そっと、告げる。

 

 

「ガイア、私は星になんて行かなくていい。ただ……あの星が見えなくなるまでだけでいいの。あなたのそばにいたい」

「……」

 

 

 

 

ガイアは何も言わない。何も言わずに抱き返してくれた。

 

きっと彼女は何も知らない。私だってこんなこと初めてだ。

 

それでも彼女は何も言わず。ただ、私を優しく受け止めてくれた――

 

 

 

 

 

おしゃべり好きでサプライズ志向、そして世話焼き。

 

半面、意外と寂しがり屋で、独占欲が強く、甘やかし過ぎる。

 

 

 

 

あなたは本当に……人をダメにするタイプだよ。

 

 

 


 

 

 

「おーい、クロー。いつまで拗ねてんだー?」

「知りません……」

「昨日は悪ノリが過ぎたって、今日はあんなことしねーからさ」

「知・り・ま・せ・ん!昨日の事も知りません!」

 

 

結局昨日は、私の目から星が居なくなるまで……私が寝付くまで、あやしてくれたらしい。

 

自分でも訳が分からなかったし、ボヤーっとしか思い出せないから、詳しく分からないけど。

 

 

心の底からガイアを欲していた気がする。生存本能が働く、みたいなね。

 

 

 

彼女は危険だ。彼女は私にとって、おいしくて優しい毒になる。

 

帰ったら、忘れずに書き残しておこう、今回の事件、その顛末を。

 

 

題名は……そうだなぁ"スイ&スポ女子の危険性"なんてどうだろう。

 

これなら対外的にはバレないよね。

 

 

「クロー、来ないなら1人で行ってくるぞー」

「……ガイアさん」

 

 

……で、でもまぁ、資料は多い方がいいでしょう。あと1回、1回だけ、ガイアに身を委ねてみようかな~なんて。

 

虎穴に入らずんば虎子を得ずって言いますしね!

 

 

 


 
 

おまけ3発目、読んでいただき、ありがとうございました。


ガイアというキャラの案自体は、結構古参なので、設定は作ってあります。

ただ、武装は元々クリス2丁の予定でした。クリス大好き!
残念ながら開発時期が違うため、泣く泣く断念。

まぁ、BIZONも好きだからいいんですけど。


ガイアと言えば、”黒紫の講義”の絵、”パオラ君吹っ飛ばされた!”が気に入って、何度か見ていたら、ガイア、白人になってますね。てへぺろ


以下、設定説明↓↓↓


クロの変化については、過去に設定集を公開投下するというアホをやらかしたので、知っている人もいたかもしれません。

通称”トキメキモード”。

キンジからクロへの変身は、香水等により、自身の女性ホルモンと男性ホルモンの量、そのバランスを傾けることで変身します。女装はその増幅。

つまり、クロは限りなく女性に”近い”のです。

その本能は男性への憧れを示しますが、本質は男。女性への憧れの方が高い、というのが私の見解になります。

だから、男性のような振る舞いをして、ドキドキしたクロに、キンジの男としてのヒステリアモードの血流が止めを刺してしまい…

クロは”限りなく女性に近い”本能を発揮しました。

庇護を求める女性のヒステリアモード。
これはクロのトップシークレットな弱点です。