まめの創作活動

創作したいだけ

黒金の戦姉妹14話 深賚の星座(後半)

どうも!


やっぱコレジャナイ感に苛まれているかかぽまめです。

トロヤとのゲームがスタートしますよ。
徐々に明らかになる彼女の能力、クロはどの様に対応していくのでしょう?


では、始まります!




深賚の星座(後半)

 

 

 

闇に支配された屋上では、皆一様に声を失っていた。

 

ここにいる人間はこの場で引き起こされた状況を正しく理解し、そして等しく現状に疑問を残す。

 

 

 

『……なぜ?』

「……困りました。銀弾は確かにターゲットの矢状縫合とラムダ縫合との交点ラムダ付近を貫通しています」

『その精度も、驚嘆。兎狗狸、どう?』

 

【何もかにもだよ!?当たってたし、首を前に倒したから、もう終わったなーって。そしたら……】

『そしたら?』

【あ、あいつ、笑ってる。銀弾だよね、今の?】

『銀弾。貫通、しなかった?』

【歯で止めたんだよ!!後頭部から貫通してきた弾を!!】

『わざわざ、止めた?……っ!』

 

「驚きました。ターゲットの損傷部が再生。銀弾による優位は失われました」

『銀弾に、耐性?』

「残念です。単独での魔臓の破壊は困難と判断、次弾は翼への攻撃を実行します」

『傷の治り、異常に早い』

【ち、ちーちゃん】

『兎狗狸?どうしたの』

【あいつ………】

 

 

 

 

 

――――銀を……

 

 

 

 

 

 

 

ガ、ガギィ……ギ、バキィッ!

 

 

 

銀を喰らう悪魔の左目が激しく明滅し、その力を露わにした。

 

「……あはっ!あははッ!とても純度の高い銀ね。祝福まで受けているなんて、最高の味だわ!」

 

 

空の温度が急激に低下する。

 

 

「あの人、何食べてるの?」

「おそらくは、銀弾だと思いますわ」

 

 

地上の炎が勢いを取り戻し。

 

 

「イヅー!」

「この声っ!苔石ちゃん!?」

「ちっがーう!あっしは兎狗狸!兎狗狸だよー!」

 

 

空間は複雑に捻じ曲がる。

 

 

「ちーとさんしょも来てる。逃げようよ!イヅも見たでしょ?あいつは銀も効かないんだよ!」

『こんばんは、イヅ、ちーも見てた。逃げるべき。でも』

「逃げないよ。を焼いてもらわないと」

「ええっ!逃げないの!?なんでっ!?」

「それがあたしの役目だからね!」

『そうだと思った』

 

 

暗き闇は光によって再び取り払われる。

 

 

『大丈夫、彼女は、もういない』

「なになに?何の話?まだいる、まだいるよ!満月みたいな目でこっち見てるもん!」

「ッ!あの方、翼が消えていってますわ」

『風が、彼女を、素通りしてる。物質的に、存在しない』

ヒルダの影みたいな状態なのか!」

 

 

ゲームスタートの合図となった残響音が、逃走者の耳に届いた後に。

 

 

「黒い霧?」

「アリーシャちゃん、電話貸して!あたしの電話クロちゃんが持ってっちゃってさ」

「……構いませんわ。ですが、どちらへ?」

「フランスのお友達兼先生に、手を貸してもらおうかと」

「フランスの方?イチナ様のご交友の広さには驚かされますわね」

「アリーシャには負けるって」

 

 

闇の霧が悪魔を包んでいって。

 

 

「苔石ちゃん。この城にフィオナって言う狙撃手がいるから、一緒にちーちゃんと合流して」

「ッ!?待って待って!何その編成!?狙撃3人編成とあっしで何するのさ!?」

「遊撃隊、みたいな?今から作戦立案するけど、この通信機を持っておいて」

「ゆ、遊撃隊?ま……まさか」

「クロちゃんの事、よろしくね!」

『兎狗狸、急いで。時間は有限。……眠い』

「うっ、うっ。いいもん!やってやるもん!玉藻様に撫でてもらうもんッ!」

「うん!その意気だ!」

 

 

霧と共に悪魔は消えた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「パオラ、中継地点ってどこなんですか?」

「アウグスティス霊廟のあるリペッタ通りで、ダンテ先輩と待ち合わせですよ」

 

テベレ川の側道、ルンゴテベレを川の流れに逆らって走行していた。

一方通行で路駐だらけ、普段は非常に混んでいるこの道路も、真夜中となったこの時間には、まばらな路駐と少ない交通量であり……

 

「おーい、遅いぞー。こっちは急いでんだ」

「ガイア、程々にね。事故ったらたどり着かないよ」

 

それほど遅くもない車を、一通なのを良い事に、ガイアはスーイスイと追い越していく。

結構車内は揺れているのだが、誰一人として危機感を感じていないのは、信頼のなせる業か単に慣れによるものなのか。

 

右側ハンドルの運転席に座るのはガイア、助手席にクラーラ。後部座席には右側に私が、左側にパオラが座っている。

バンは3列シートになっているが、3列目は折り畳まれ、空いたスペースに通信機器の端末が、かなり頑丈に固定した上で、緩衝材で補強されている。

 

「すぐ近くですね、そこで2人とはお別れですか」

「後ろの方もですよ。絶対に届けますから、安心してください!」

 

あ、忘れてた。

後部座席の通信機器同士の隙間には、簡易的な休眠スペースが設えられ、出棺したてのヒルダが布団で眠りに就かされていた。

 

「それはダンテのあんちゃんによるだろー」

「ガイアよりは安全運転だから。……それより、クロさん達の方が心配です」

 

クラーラは私が棺桶と共に吹っ飛んできた時には、「やっぱり怪我してない」とか言ってたのに、今度は心配してくれるらしい。

2人で見た屋上の光景が、少なからず彼女の不安を掻き立てているようだ。

今も注意深く、双眼鏡で屋上を眺めているが、状況が動いている様子はないとの事。

 

「それこそ、ガイア次第ですよ。事故でも起こさなきゃ追いつかれませんって」

「なんでさっきから、あたしの運転には事故の単語が付いて来るんだよ!免停になったことはねーぞ?」

「荒々しいからですよ、ガイア」

「パオラまで言うのかよ……」

 

パオラにまで敬語で諭されたガイアは押し黙る。普段は弄られ役だが、なんだかんだでパオラの一言は3人の中で一番大きな力を持っているのだ。

……たぶん、2人共パオラには頭が上がらないんだろう。彼女の裏ルート仕入れ先と交渉術は侮れない。

私だって、彼女からの供給が断たれてしまえば、戦力がガタ落ちするだろうし。

 

「霧?」

「どうした、クラーラ?」

「屋上に霧がかかっていて、よく見えなくなってきてる」

「霧ですか。川から上がっている感じです?」

 

クラーラは双眼鏡を覗いたままで少し考え、回答する。

 

「黒い霧。クロさん、あれは自然発生では無さそうですよ」

「ということは」

「人工的な物でしょうね。発生範囲からして、あの翼の生えた人間の仕業かと」

「つっ!翼ッ!?クラーラ、何ですかそれ!?」

 

隣のパオラが跳ねた。しかし、身長が低すぎるので、天井には全くもって届かないし、揺れるものもない。

この反応から見るに、知らなかったようだ。屋上の状況も今の状況も。

 

「パオラはずっと電話してたしね。お化けとか苦手だし、黙ってた方がおも……混乱せずに済むかなーって」

「ク、クラーラ!」

「ホントに酷いお仲間ですよね」

「っつーか、どこに電話してたんだ?引っ切り無しだっただろ?」

 

復活したガイアが会話に参加し、パオラに質問を投げ掛ける。

ずっと電話してたのか、珍しく忙しいようで。

 

「ごめんなさい、仕事の話だから、詳しく話せないの」

「ま、そーだよな」

「お仕事大変だねー」

「あ、パオラ。私の脛当てと防刃ストッキングってどうなってます?」

「それなら、明日にはお渡しできますよ」

「そっか、よろしく!」

「はい!」

 

一応、すぐに話題は変えたが、やはりこの話仕事になると、パオラはピリッとした雰囲気になる。

聞いてみたいが、聞けない。

 

「クラーラ、霧の様子は?」

「もう完全に見えませんね。炎の勢いも増してきていますし、視界がモヤモヤします」

「とうとう動くんですね」

 

1分はとうに経っていて、未だに屋上にいる理由は分からない。

高い所から私を探しているのかもしれないし、誰かが足止めしてくれているのかもしれない。

どちらにしろ、私1人をこのローマの中から探し出すのは容易ではない。

 

と思う。思いたい。

 

 

この作戦での私のアドバンテージは、

 

・先手を打って、逃亡先を完全にくらました事。

・車での移動によって、1分での移動可能範囲を伸ばした事。また、万一の逃亡時にも有利に働く事。

・過度な攻撃を封じ、広範囲に及ぶ攻撃をも封じた事。

 

等々、多岐に渡る。

 

見付からない前提で動くのが第一だが、

 

(嫌な予感がする、言い知れない、壁か何かが、見えるような)

 

かくれおにの本番は見付かってからの逃亡になるだろう。

ガイアには危険な相乗りで申し訳ないが、ローマの為にも一緒に頑張ってもらう事になる。

 

「クロ、降りる準備をしとけ、戦闘準備もな。もうちょっとで着くぞ」

「はい、大丈夫です。欲を言えばもう1丁、銃が欲しい所ですが」

「あれ?パオラの銃ってクロさんのと一緒じゃなかった?」

「私のは縮小タイプで、改ぞ……使用感が全然違うの」

 

ああ、見た事ある。すごく小さいよね。パオラにピッタリだと思ったよ。

 

「いえ、私はあの銃M92Fじゃないとダメなんです」

 

(表では、ですけど)

 

「じゃあ、諦めろ。向こうの車に、銃弾位なら少しは積んでる」

「それはありがたいですね!」

「使いすぎんなよ?」

「そ・れ・も、ガイア次第です」

 

 

 

 

車はリペッタ通りに進入する。

ここでダンテ先輩が待っている予定だが…

 

「ん?あいつ、エレナミアか?」

「あ、ホントだ」

 

前列2人が知り合いを発見したようで、車速を落としていく。

すると、向こうもこちらに気付いた様子で、腰かけていた小さな植木から駆け寄って来た。

 

Booooneブーーーン,Booneブーン!!夜も遅くにこんばんは!だねー?」

「なーんでお前がいる?ダンテの兄ちゃんはどうした」

 

意味不明な掛け声は、エンジン音の真似だと思う。独特なキャラなのだと認識はしたが、どちら様?

クラーラとパオラは適当に挨拶をしているけど、私は会った事が無いな。

 

パオラよりは大きい位の小柄な体格で、武偵中の制服の上に厚くて硬そうなエプロンを着用している。

潤滑油の匂いがするのは、彼女が原因だろう、エプロンと頭につけたゴーグルには粘性の液体が付着していて、何かを弄っていたのが一目瞭然だ。

 

あんちゃんには別の仕事頼んだだろー?代わりに私が駆り出されたんだってー!」

「あたしは聞いてないぞ?クロ、なんか頼んだか?」

「私が進んで男性と話すと思ってるんですか?ガイアを仲介するに決まってるでしょう」

「クロさん……それもどうかと思います」

 

トラブルという程でもない、予定の誤差があるのか、ガイアとゴーグル少女は何度か言葉を交わす。

 

「クロ、車を変えるぞ。そこの日本車だ」

「日本車ですか?」

 

ドアを開けながら、ガイアが示す先にあるのはシルバーのスバルインプレッサWRX STIだ。

今乗っているバンもそうだが、犯罪用車じゃないんだから、わざわざ外車に拘らんでも良かろうに。

何となく嬉しいけどさ、日本車が海外で活躍するのを見るのは。

でもあっちは左ハンドルなのね。

 

車を降りると、丁度強い風が辺りに吹き晒した。息の止まるようなその一陣の風は一吹きだけで、穏やかな風が戻ってくる。

日本車の感慨に耽っていると、前方下部から声を掛けられた。

 

「Boone!あんたがクロ?すっごーい。アレ見せてよ、アレ!どっかーんってやつ!」

 

 

(意味不ッ!)

 

 

「エレナ、クロさんは忙しいんです。また今度にしましょう」

「よっし!また今度、約束したからね!」

「クロ、急げよ。置いてくぞ」

「私を置いてどこ行くんですか!」

 

助かった。テンションが高いし、擬音ばっかで会話が困難だったけど、聞き分けはいい子だ。

慣れたもんなのか、クラーラとガイアによってうまい具合に引き離される。

 

「じゃっ、ガイア!私は先に出るよ!」

「ああ、安全運転で頼むぞ。つってもお前なら事故の心配はないか」

Mio Motto Mailing私の郵送のモットー! Minuziosamente正確 ,Meraviglioso素晴らしい , Magnifico超クールMista pizzaミックスピザだろうが , Missiva伝言だろうが , Missileミサイルだろうが , ね!」

 

そう言い残し、ゴーグル少女はバンの運転席へと乗り込んでいった。

 

 

 

 

「クロ、出るぞ」

 

4人を乗せたバンが右折し、見えなくなるまで見送っていると、ガイアが後部座席に座る私に話す。

やたら近くされていたシートや、下向きに調整されたフロントミラーなどを調整し終えるのを待っていたが、終わったようだ。

窓やドアの自動開閉機構の確認も行っていたし、随分と念入りに行うのは……

 

「いつでも、いいですよ」

「シートベルトはすんなよ?ワイヤーでもつないどけ」

「……巻き込んでしまって、すみません……」

 

当初の目的ではこんな危険な役目になるとは思っていなかった。

監視の目を欺くために、ダンテ先輩と車を入れ替えて、葬儀場――ゾーイ先生の医学研究室までヒルダを運んでもらうだけのつもりだったのだ。

 

だが、結果として、ガイアをトロヤがもたらす危険に晒すことになるかもしれない。

そしてひとたび遭遇してしまえば、私は自分を守る事すらままならなず、彼女を守り切れる自信は……ない。

 

「夜中だからって寝惚けてんなよ。黙って前だけ見てろ。いいか?」

「……うん」

 

 

そうだった、ガイアはこういう人だ。

 

 

「今、起きましたよ。さっきの寝言は忘れてください」

「何も聞いてないさ――ッ!?……それと、クロ。悪りぃ、前は見なくていいぞ…」

「?……ッ!!」

 

 

フロントミラーに映った、私の左隣。

 

 

黒い霧。

 

 

その霧が再び現れる所には――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       * 

       ク

         ロ

      ち

       ゃ

         ん

        `

      み

       ぃ

      l

        つ

     け

        た 

      ♪

       * 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪魔の笑顔が。

 

 

 

 

――――見つかった。

 

 

予想はしていたが、想定を超えて早い。

 

 

初めから、私の場所なんて分かっていたのだろうが、移動まで早いとは。

 

 

「これで、1回目かしら?」

「なんで……ッ!?」

 

 

音も無かった。

気配も無かった。

も無かった。

 

 

ずっとそこにいて、ずっと見ていて、ずっとくっついていたみたいに。

 

 

抱くように撓垂れ掛る、トロヤの満月の瞳が闇の中の私を捕らえていた。

 

 

優しく包むその両腕が、急激に体温を奪い、震えと眠気を誘発させる。

 

 

「クロ……ッ!」

「黙っていなさい?」

 

トロヤの殺気で車内は沈黙し、時が止まったように静寂が訪れた。

 

「ねぇ、どうしてなの?」

「発言の……意図が、読めません」

 

触れるほどに近付けられた彼女の口から発せられたのは、疑問を含んだ声色。

知りたくて、知りたくて、仕方がない。そんな心情が在り在りと感じ取られた。

 

「なんで、こんな勝負を挑んだのかしら。この展開も、予想出来ていたのでしょう?」

「言ったはずです。これはリベンジゲームだと」

「ええ、そうだったわね。でも……」

 

頷いた彼女は視線を外さない。

私もまた、目を離すことが出来ず、首の裏が疼き始める。

 

「賢いあなたなら分かったはずよ?彼女たちの重要性も、このゲームの無意味さも。初めから素直に従えば、あの2人を……そこの運転手も巻き込むことも無かったわ。焼滅アレだって、あなたが懐いてくれるなら、いつでも消してあげるのに」

「トロヤ、その話は私1人の犠牲で、ローマも大切な仲間たちも守ることが出来る、一見魅力的な提案に聞こえます。……が、私を賢いと思っているのなら、そんな話に乗るわけがない、そう思いますよね?」

 

なんとか自身を奮い立たせて紋章の発動を食い止める。

首に掛けられた真っ白な両腕が型を取るが如く、肩、脇、腰へと下がっていく。

 

「ダメ?」

「自分で言ったでしょう、『たとえ負けたとしても、また会いに行く』と」

 

そうだ、彼女が手を引く理由はどこにもない。それは彼女が勝っても変わらないのだ。

ここで、逃げの一手として私が従ったとしても、一菜達はずっと監視され、いつか利用される。

状況は今と何も変わらない。

 

「……そんなこと、言ったかしら?」

「誤魔化しても無駄です。あと、負けるつもりもありませんから」

 

嘘を吐くのが苦手なトロヤが目を逸らした一瞬で、さりげなく手を振り払い、逃走準備を始める。

それに彼女も気付いて、私の挑戦的な目を愛おしそうに眺めた。

 

 

「無理しないで?諦めても誰も責めたりしないわ。初めからだったのよ」

 

 

振り払われた右手で、虚勢を張る私の頭を撫でて宥めながら、降伏を促す。

許してあげる。そう言わんばかりの柔らかな笑みは果たして――

 

「不可能、ですか」

 

こっちも言わせてもらいますよ、私の思ったことを。

好きじゃないんです、その言葉。

カナの悲しそうな顔を思い出してしまうから。

 

ガイアにミラー越しで合図を送り、タイミングを計る。

 

「不可能って言葉、私は言おうが言うまいが、その人の勝手だと思います。自分1人で何でも可能だと言ってしまう人もいますが」

「……」

「でも、私は言い切ることが出来ません。口では何とでも言えますが、心から准ずることが出来ないんです」

「クロ……」

「当たり前じゃないですか、1人で出来る事なんてタカが知れています。だから皆を信じるんです!」

 

トロヤは解せない、そんな不愉快そうな顔をした。

彼女は他人を信じられないんだろう、過去に何があったかは分からないが。

 

「あなたに仲間は要らないわ。そんな余計なもの……」

「私には皆の力が必要なんです!」

 

 

(一時的に恐怖に打ち克った!いける、今なら動けるぞ!)

 

 

「可能か不可能か!そんなもの、行き当たった先で賽でも振ってればいいんですよッ!」

 

トロヤ側のドアが自動で開かれる。

同時に飛び掛かり、彼女を外に押し出そうとした――

 

(お、押し切れない……)

 

全体重を載せた体当たりだったが、彼女は細身の体に似合わず、

 

「あらまぁ、一生懸命に頑張っちゃって。健気で可愛らしいわ」

「くっ……そ……」

 

トロヤは頭を撫でる手を止めない。

それが無性に逆らい難く感じられる。

 

 

 

膠着状態。

そして私は動いてしまった。

 

 

 

――――1分間の逃走タイムの始まり。

 

 

 

あと2回。それだけでこのゲームは終了する。

 

「クロ!絶対に落ちんなよ!」

「ガイア……ごめんッ!」

「弱音を吐くなッ!」

 

ガイアはこちらに警戒を向けたまま、何かの操作を始めた。

エンジンの空ぶかしもしている。

 

(車で逃げても、トロヤが乗ったままだと意味がない。どうにか追い出さないと)

 

「まだ邪魔をするの?」

 

私から手を離し、ガイアを睨み付ける。

 

、してねーだろッ!」

 

キュルルル……と、タイヤが音を鳴らし、ドアを開けたまま車が急発進する。

2速、3速、4速と、ぐんぐん速度を上げ……80km/h!

 

「悪魔さんよ、しっかりシートベルトを付けとけよ?」

「人間如きが何をするかと思えば、振り落とすつもり?あははっ!無知ってのは罪深いわねぇ?そんなにうまくいくと思って?」

「ああ、無知ってのは怖えーだろ?良く覚えとけ」

 

車がリペッタ通りとアラ・パチス通りの交差点に差し掛かる。

交差点に進入した、その瞬間。

 

「限界ってもんを知らねーからなッ!」

 

ガイアは思いっきりハンドルを切った。

 

 

60度、120度、180度……270度!!

 

 

上昇した速度の全てを使ってスピンをし、作り出された遠心力によって、私とトロヤは車外へと引っ張られる。

 

「……ぐぐッ!」

 

トロヤの表情が変わってきた。

車に乗り慣れていないのかとも思ったがそれだけではない、彼女が掴んでいたシートがのが分かる。

 

体当たりをした時にも感じた事だが……彼女は質量がかなり大きいらしい。

それが仇となって、より強い加速度、遠心力を受けている。

 

(これで叩き落す!)

 

両脚を折り、左足の爪先から始まって、両方の足首、膝を同時に伸ばすことで、最後に右足で後ろ蹴りをお見舞いする。

 

 

鉄沓かなぐつッ!」

「うっ」

 

 

ドスッ!という鈍い音を上げて、トロヤを外に弾き出した。

しかし、脚へのダメージがでかい。鉄骨にかかと落としをしたような、脚部全体への痺れが残った。

 

「ガイア!出来るだけ距離を広げましょう!」

「ナイスだ、クロ。今走る」

 

車はトロヤを置き去りに走り出すが、またすぐに追い付かれるだろう。

彼女の移動手段が謎な以上、振り切る手段はないのだ。

 

正体を掴めないかと、後方を確認していたものの、靄のようなものが彼女を包んで隠してしまった。

 

「あれが、クラーラの言っていた、黒い霧ですか」

「あいつ、動いてるか?」

「見えません。けど、きっと移動手段だと思うんですよ。彼女自身が霧になって」

「霧になって寄って来るってのかよ。なんでそのまま追って来ない?」

 

確かにそうだ。

足を止めてまで霧になる位なら、直接追ってくればいい。その力が彼女にはあるだろうし。

 

ヒルダが影に入り込むのは障害物を透過する効果があった。

では、トロヤが霧になる理由はどこにあるのか。

 

広々とした屋外で、わざわざ障害物を避けやすいなんて理由で霧になる必要はないし、銃弾が効かないのに霧散させて姿を隠す必要もないだろう。

他に霧になる理由なんて……

 

 

……いや、待てよ。

 

彼女は本当にで、高速な移動が可能なのだろうか?

 

霧になる理由がにつながるとしたら――――

 

 

 

――そうか!彼女の出現には、があったんだ!

 

 

 

「ガイア、このまま車で逃げ続けて下さい。冷房はそのまま付けず、絶対に!」

「は?考え込んだと思ったら、突然なんだよ」

「おそらく、霧状態の彼女自体はでしか移動できないんですよ。だから車が走り続けていれば、それだけで車内に紛れ込むことが出来なくなる」

「ゆっくり…?逆だろ、屋上から中継地点まで、あっという間に移動してきた」

 

そう、私もそう思ってしまった。

だが違う。彼女は一度中継地点の近くまで移動してから、私達の車に侵入するまでに、かなりの時間が掛かっている。

その証拠に、にはすぐ近くまで来ていたのに、姿を現したのはガイアの発車準備が整ってからだった。

まるでクラゲの様に、漂う速度でしか移動できないのだ。

 

「車から降りたがらなかったのは、走り出してしまえば次の停車まで、乗り込めないからなんです」

「どういうことだ」

「風。車を降りた後、一際強い突風を感じませんでしたか?」

「かぜ?確かに風が強いとは思ったけど」

「その風は一回しか吹いていないんです。自然の風」

 

乗って来たんだ、その風に。

自身の大きすぎる質量を霧に分散させて。

 

そして、違うな、まだ付着している。

 

 

(それこそが――――この紋章だ)

 

 

首の後ろをさする。

触っても何も感じないが、ここには確かに彼女の一部が埋め込まれていて、それを頼りにいつでも私を見つけ出せる。

 

「じゃあ高速道路にでも向かうか?それなら延々グルグル回れるぞ」

「高速にたどり着く前にタイムアップですよ。止まらなければどこでも……!」

 

 

車が微かに揺れた。強い風が吹いたのだろう。

これが予兆になる。車に張り付いているかもしれない。

 

「ガイア」

「分かってる、もう止まんねーよ……げっ!事故車か?」

「止まっては……」

「わーってら!」

 

ガイアはブレーキを掛けてハンドルを左に、川縁に降るに突き進む。

 

「!?」

「喋んなよ?」

 

 

ガタッガタタガコッゴトゴトゴト……

 

 

痛い!おしり痛い!

 

サスをギリギリまで縮めている為、ちょっとの振動でも車内は結構揺れる。

 

左車輪を塀に、右車輪で階段を走っていると、川縁の車道は見えたが……

 

「あれ!手前の道狭すぎません?」

 

歩行者用に作られたであろうその道は、車が通るには当然狭い。

だが、そこ以外に舗装された道路は見当たらないぞ。

 

「なら走んなきゃいいだろ」

 

平然と言い放ち、またハンドルを左に、川に向かって切った。

途中からシフトを1速に落とし、クラッチを切ったままアクセル全開で回転数を合わせていく。

 

「ちょ、ちょっと!」

「そこにあるだろ、道が」

 

車が着地したのは、雑草の除去もされていない土の上。

そこからエンジンの力で車道へと乗り上げていく。

 

「ほら、止まらなかったぞ?」

「……しゅみませんでした……」

 

もう怖い。降りたいけど降りれない。

牢獄、狙撃の次は車内監禁が待っているとは。

 

 

――ガスンッ!

 

 

なんの音だ?

 

 

「……チッ、車に張り付いてやがったか」

「?どうしました?」

 

ガイアに示されたメーターを見てみるが、車なんぞに縁がない私にはサッパリだ。

四角いボックスマンが長い腕の先で、自分を指さしていて、そのメーターがなにやらグングンEに近づいている。

EとF…ランクアップまでの残り経験値だろうか。メタルスライム並みの経験値を手に入れたらしい。やったー。

 

「それはガソリンメーターだ。それくらい知っとけ」

「分かりませんよ!車なんて数える程しか乗ったことないんですから!」

 

四角いボックスメンは給油機の形だそうで、彼のメーターは残りHPを表している。

エンプティーのEに到達して暫くすると、車は止まってしまうとか。

 

それってマズいんじゃないの?

 

「ガ、ガガガ、ガイア!回復、回復呪文を!」

「んなもんねーよ!それ以前に穴空けられてんだ!」

 

出て来ないと思ったら、なかなか面倒なことを。

車が無くなったら逃げきれないぞ。

 

「そんなに遠くには行けない。どこに向かう?」

「近くに公園がありましたっけ」

「あーー……あったな、ポポロ広場のとこのボルゲーゼ公園だ」

「ああ!丘がある広い公園ですね!」

 

そこなら車通りも無いし、この時間なら人もいないだろう。

 

「そうしましょう!」

 

ガイアに同意を求めたが、返事がない。

窓の外を見ているので、同じ方向を確認してみる。

 

「あたしの見間違いじゃなきゃ、お客さんじゃねーか?」

「……なるほど、通常状態の滑空移動でも時速60キロは出せるんですか」

 

左方向、川の上には、並走して滑空するトロヤの姿があり、その右手に髪飾りと同じザクロ色に染められたスモールソードを握っている。

あれで穴をあけたらしい。ヒルダと同じで近接戦も出来るのか。たぶん、フラヴィアの左目も……

 

驚くべきはあの質量で飛べることなのだが、川の水が跳ねないのが気になるな。

彼女の重量ならもっと水飛沫を上げそうなのに。

 

 

川には観光用のボートを貸し出しているボートハウスが並んでいて、それを避けたトロヤは川の中央へ一旦離れて行く。

 

「もっとスピードは上げられますか?」

「出来れば止めたいくらいだ。引火なんて御免だぞ」

 

(厳しいか。だが仕掛けて来るぞ、あの細剣で)

 

ボートハウス群を抜け、次に現れた彼女は予想通り、刃をこちらに向け――

 

 

チュチュチュ、カキンッ!

 

 

何者かの銃弾が細剣の切っ先を逸らし、攻撃を中断させる。

 

(今の銃撃は!)

 

対岸にまたしても並走する車がいた。

その助手席、後部座席、ルーフ上に、それぞれ攻撃態勢を取った少女が乗っている。

 

「対岸を走る車がいますよ」

「あれ、兄ちゃんか!?」

 

運転手はダンテ先輩のようで、助手席に座るのはフィオナ、後部座席は例の狙撃手、ルーフに伏臥体制で張り付いているのは……あ!フィオナから聞いていた部族の人か、同じの着ているし。それにしても小さい、幼子のような見た目だ。

 

 

 

バチィッ!

 

 

ビシュンッ!

 

 

チュチュンッ!

 

 

 

銃弾が次々と放たれ、翼の付け根、肩、右腕を集中して次々と狙い撃っていく。

目的は攻撃の妨害なのが分かった。武器を振るわせまいとしているんだ。

 

「異様な車だな」

「移動型狙撃砦ですね。恐ろしいものを見ました」

 

撃たれた箇所はすぐに再生するが、所々当たっているのに弾かれていて、血の代わりに金属音が辺りに響く。

それでも、彼女の挙動を阻害する事は十分にでき、場所によっては姿勢を崩したりもしていた。

 

「――危ないッ!」

 

トロヤは何事か呟くと視線を対岸の車に送り、全身が細剣ごと霧散していく。

車が横に揺れる。強い突風が吹いたのだ。

 

移動している、見えないまま、高速で。

 

(殺さないにしても、一撃で再起不能にされかねない)

 

しかし、窓から車内に入りはせず、車の後方に追従する形で出現したトロヤは、まずタイヤに狙いをつけている。

、動きだけを奪ってしまうつもりなのか。

 

(ん?)

 

 

――パカッ

 

 

(ハッチが開いた?)

 

「うわあああぁぁぁーーー!!ホントにいた、ホントにいたよー!!」

 

こっちにまで聞こえる、大きな絶叫が上がった。

姿は見えないが子供の声、部族の人と同じくらいの年齢だと思う。

 

 

 

タァーーン!

 

ダダダァーーン!

 

 

 

すかさず、後部座席の少女が撃ち込み、怯んだ所へフィオナの追撃が襲い掛かる。

狙撃手たちは三者とも百発百中で、付け入る隙を与えない。

 

 

~~♪

 

 

電話だ、相手はフィオナ。

 

『クロさん、すみませんが、そろそろ弾切れです』

「いえ、助かりました。離脱できそうですか?」

『と、とく……?えと、お化けさんがやってくれるらしいので、問題ありま――』

【お化けじゃないよ!と・く・り!あっしは兎狗狸!】

『兎狗狸、さっさと被せて』

【うんうん!やるよ、やっちゃうよ!】

 

(うわぁ、1人だけ賑やかな子なんだね。後部座席の人、坦々と撃ってるのに)

 

しかし、その寡黙な狙撃手も弾切れのようだ。銃声が止み、マガジンの交換をしているのだろう。

そこへ、腕を引いたトロヤが距離を詰めていく。

 

 

 

前後不覚の無限蚊帳あっちこっちのかやまつり!】

 

 

 

突如、真っ白な蚊帳が降ってきて、カポンと車に覆いかぶさる。

 

トロヤの刺突が、蚊帳ごと車のタイヤを貫い……た?

 

(今のは確実にタイヤを捉えていたのに、普通に走ってる?)

 

「なんだありゃ、新手のお化けか?」

「ガイア、それより前、前!坂の急カーブですよ!」

 

あの珍妙な物体も気になるが、車道は本来の入り口である坂へと差し掛かる。

ブレーキを掛けて2速に落とし、一気に登り切った。

 

再び3速へと増速し、その勢いのままサイドブレーキを掛け、アクセルを踏み込んで回転を上げていく。

 

「どっか掴めよ!」

「とっくに掴んでます!」

 

ハンドルを切ってドリフトを掛けた後に、サイドブレーキを下ろしクラッチを蹴り入れると、車はタイヤから白煙を上げながら180度回転して公道に入る。

 

 

『ターゲットが消えました。クロさん注意してください』

「後は何とかしますよ。そちらも警戒は解かないように」

【ねぇ、お主さんが遠山クロなの?】

 

あれ?賑やかッ子に話し掛けられた?

 

「そうですが……あなたは?」

【あっしは兎狗狸!玉藻様の一番弟子になりた――あぷッ!】

『余計な事、言わない。イヅの友人』

「伊豆さん?」

 

 

――ドシュンッ!

 

 

 

「うぉッ!」

「キャアッ!なに、なんの音です!?」

 

車が縦にも横にも揺れながら走行し始めた。

速度も落ちている。

 

「リヤだ、左右やられた!」

「分かりませんけど、やられたんですね!」

「もうハンドルも利かない、停まるぞ」

「……へっ?と、止まっちゃうんですか!?」

「リヤタイヤがやられたって言っただろ!」

「タイヤって言ってないですもん!タイヤ位は知ってます!」

 

しょうもない言い合いをしている内に右折し、直進を残すのみとなった。

 

「降りるぞ!振動でエンジンパーツが外れる。燃料の噴射器が折れたら大炎上だ」

「炎上ッ!?」

 

ぐわんぐわんハンドルを取られながらも、なんとか道の端に停めて降りる。

公園まではあとちょっと。

 

――むしろこれは好都合だ。

 

 

「ガイア、車の中に何か積んでありました。触るのも怖いので、確認をお願いします」

「お?分かった、どうせエレナミアの工具セットかなんかだろ」

 

表のままでは手も足も出ない、どうせ逃げられないなら。

 

 

(本気で戦うしかない)

 

 

勝利条件は私が触れられなければいい。

ごっこで鬼を殴ったら卑怯だが、そんなこと今さらだ。勝たなければ何も始まらないままに終わってしまう。

 

 

ガイアはここで脱落にすべきだろう。

彼女をトロヤとの直接戦闘には連れていけない。

 

「ガイア、ありがとうございました」

 

車の中を確認する彼女にかもしれない挨拶をする。

 

「どうした、まだ終わ――」

 

 

 

――もう、聞こえない。彼女ははるか後方にいる。

 

 

 

突風が飛ぶように走る私の後ろにつけて、追い風のように追従する。

 

(トロヤ!正面からお相手してあげますよ!)

 

体に纏わり付いた霧が白い肌の悪魔に変わり、声が聞こえる。

 

「――2回目。惜しかったわね、もう少しで勝てたかもしれないのに」

「3回目はありませんよ?」

 

 

その手を振り払い、公園へ駆ける。

 

 

 

遠く遠く人のいない場所へ、暗い暗い暗澹たる場所へ――――

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「この車、もっと速度はでないの?」

「あらあら、先輩?余り急ぐとステップを誤ってしまうわ」

「あなたが緊急だと言ったのよ」

「ええ、そうね。……出たの、悪鬼が」

「ッ!?……クロは?」

「心配無い。と言いたい所だけれど、私もやられたばかりなのよ」

 

 

「間に合うのかしら?」

「そこは大丈夫。あの子、面白いことを言っていたもの」

「……ふざけている訳では無いのね」

「ゲームですってよ。あの日の続きだそうだわ」

「あの日……」

「信じなさいな、あなたの家族を。……あれは、ヒッチハイク?」

 

「先輩、あの子知り合いかしら?」

「……?ええ、そうね。拾ってあげて」

「子供にしか見えないわよ、連れていけるの?」

「問題ないわ」

「分かりましたわ」

 

 

 

「カナお姉ちゃんこんばんはー」

「うん、こんばんは」

「その人、屋上の人?」

「フラヴィアよ、よろしくね。えーっと」

「チュラだよー」

「あらあら、可愛い名前。でも……どこかで見た顔ね。他人の空似かしら?」

「チュラはあなたに会ったことないよー」

「そうよね、よろしくお願いするわ」

「うん、よろしくー」

 

 

 

「メーヤを知らない?電話が通じないの」

「あらあら、彼女なら今頃私の後を継いで、屋上で最後の役目を果たしている所よ」

「ちゃんと終わらせたよー!」

「知らない所で色々動いているのね」

「全部あの子の仕業よ。まるで夜空の星座の様に、たくさんの人間が1つになっていたわ。私もその1人」

「チュラもー」

「私もその1人なのかしらね」

「うふふ、仲良しで微笑ましいわ。嬉しいのかしら?それとも、寂しいの?」

「寂しいの?」

「人は、知らないうちに成長していくものね」

 

 

 

「……先輩、前回はどうやって追い払ったの?」

「メーヤのおかげよ。私だけなら負けていたわ」

「メーヤが?悪鬼には聖歌も祈りも通じないのよ?」

「感情の制御が重要なの。悪鬼は絶対に人を

「裏切れない?」

「人を信じる、人を愛する。かつて自分が裏切られるまでに求め続けたその感情が、彼女のに耐えうる。……らしいわ」

「……良く分かりませんわ」

「同感よ」

 

 

 






クロガネノアミカ、読んでいただきありがとうございました!



チェイスなんてもう書かないもん!

バイクは登場させられなかったし、ニンジャもお留守番になったし!


なんてこったい。



反省はこれくらいとして、本編の内容をば。

ここまでの4話、星や星座という題名通り、仲間たちとの絆をテーマに(24時間テレビではありません)、クロじゃない目線を多めに書いてきました。原作と違って味気無さが感じられたと思いますが、複数の現場を反映するには仕方がなかったのです。

クロはこれから、決戦に向かいます。
そこに駆け付ける3人は、無事にゲームの勝者へと誘えるのか。